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この記事は《世界史B》を《センター試験のみ》で使用する方に向けてどのような参考書・授業を活用し、どのようなスケジュールで勉強を進めていくべきかをひとつの具体的なプランを通じて提案するものです。以下で登場する用語や学習計画の一般論についてはこちら。
【該当する人】
文系:旧帝大など最難関国立大学を除く国公立大学志望者のなかで、併願私立大学は経済・商・経営学部など英数国で受験できる学部のみを志望する人。
(例:第一志望=横浜国立大学経済学部、併願大学=早稲田大学社会科学部、慶應義塾大学経済学部、明治大学政治経済学部)
理系:センター試験で社会が必要となる国公立大学を志望する人。
(例:東京大学理科各類)
※ 2012年1月に実施されるセンター試験から公民のカテゴリーに《倫理・政治経済》という科目が新設されます。多くの国公立大学は旧来の《現代社会》《倫理》《政治経済》を指定科目から外し、《倫理・政治経済》のみを新たに指定科目としています。これにより地理歴史・公民の科目間の負担の違いがなくなり、特に理系でも世界史B・日本史B・地理Bを選択するものが増えると予想されますが、詳細はこちらにて。
【授業】
必要ありません。学習参考書の文字による情報だけでは刺激が足りないという人はあなたの通っている高校の授業をちゃんと聴いてください。いや高校の授業はつまらないし役に立たないんだという人は授業を聴かずに参考書をちゃんとこなすだけで十分です。どうしても文字情報だけではつらいという人は季節講習(夏・冬)をひとつくらいとってみるといいです。講座を選ぶにあたって気をつけるポイントは「基礎レベルの講座でできるだけ広い時代を扱っていること」「体験受講をうけて話の面白い先生を選ぶこと」「センター試験対策という名称にこだわらないこと」です。学力や知識をつけるために講習へいこうと考えてはいけません。世界史に興味を持てるようになるためにいくのだと考えてください。間違っても予備校講師に感化されて通年講座をとらないように。予備校に設置されている「センター対策講座」は私立大用の講座を簡単にしたものに過ぎません。講師もそのような認識で教えています。センター試験と私大入試は傾向が違います。私大の基礎レベル講座ではセンター対策としては「出ないところをやり出るところをやっていない」状態です。完全にお金の無駄です。
※ 教える能力は一切度外視して、説明のおもしろい(授業とは関係ない雑談は除く)講師をひとり挙げるとすれば、代々木ゼミナールの佐藤幸夫(全国の代ゼミで受講可能)ですね。点数が上がるかどうかは別ですが、世界史を好きになれるでしょう。世界史好きになったら勉強に対する姿勢が変わるかもしれません。ただし、上記のように純粋にセンター試験で点を取ることだけ考えたら全く必要のないプロセスです。まぁ受験勉強のちょっとした彩りくらいに考えてください。その彩りのために15,000円支払うかはあなたの考え方次第です。
【講義系参考書】
① まずは講義系の参考書で世界史の全体像を掴みましょう。しかしここでもセンター試験に出る用語だけに絞ったものがいいでしょう。現在出版されているセンター世界史の講義系参考書のなかで最も秀逸なのが『センター世界史B各駅停車(中谷 臣著、パレードブックス)』です。
現在世に出ている世界史の参考書のほとんどは私大用です(青木の世界史B実況中継、ナビゲーター世界史Bなど)。参考書に○○用とかいていないものはすべて私大用だと考えてください。センター試験にはでない無駄な単語が入っているということです。しかもそのほとんどは4~5分冊構成で1冊1,000円弱はします。そうすると全時代をそろえるのに4,000~5,000円ほどかかってしまいます。その点これは1冊で全時代をカバーしていますから、1冊あたりの値段は高めですが、全時代をそろえることを考えればずっと割安です。
【演習系参考書】
② 次に演習系の参考書です。センター試験の一番の問題集は過去問です。過去問集なら何でもよいのですが、収録年数が多いということと、問題が時代順に配列されていて使い勝手がよいことから『センター試験への道 世界史(年森寛編、山川出版)』がオススメです。
これは2008年までのセンター試験(共通一次試験も含む)の本試験、追試験、試行テストで出題された問題がすべて収録されています。すさまじい分量ですが予備校の出している予想問題集と値段はさほど変わりません。これを繰り返しやってください。ただし、時間がなければ70年代の問題は飛ばしてよいです。なおこれをやってしまうと直前にやる過去問がなくなってしまうと心配する人がいますが、この本に収録されていない09年~11年の3回分を本番同様の形式で演習すれば十分です。直前期は他の科目も勉強しなければいけませんから世界史にかけられる時間もこの程度が限界でしょう。
【記憶本】
中谷臣先生は世界史におけるある程度の年代暗記は高得点への近道だと述べています(ソースはこちら)。わたしは最初半信半疑でしたが実際に試してみると自分でもびっくりするくらい点数が上昇しました。そのとき使用した本が『世界史年代ワンフレーズnew (中谷まちよ、パレードブックス)』です。
先生はこの本のなかでセンター試験は4分の1は年代の問題だといっていましたが、それは年代暗記でしか答えが確定できない問題が4分の1という意味で、年代暗記を前面に出していけばもっと多くの問題の答えが絞れます。あとは皆さんが参考書を読んで手に入れた知識(=世界史の常識)と地図問題でセンター世界史は構成されています。地図問題は中谷先生がウェブ上で公開している地図を覚えれば解けます(こちら)。3日間毎日10分もやれば十分です。センター直前にやってください。センター世界史は年代暗記でない、いわゆる「世界史の流れ」と呼ばれるものでも答えにたどり着けますが、皆さんは「世界史の流れ」はいったいどういうものでどこまで覚えればよいのかちゃんとわかっていますか。わたしはわかりません。それよりも覚える範囲が明確な世界史年代のほうが信頼度が高いと思いませんか。「世界史の流れ」今度どういうものか分析してみようと思っていますが、この受験業界が長い間答えを出せずにいた(うやむやにしていた?)問題に一大学生であるわたしが答えを出せるかどうか…
【プラン】
※ 期間の目安は他の科目の勉強の邪魔にならない程度に勉強した場合のものです。ただし毎日勉強することを想定しています。
第一段階(半月~1ヶ月)
メイン:『センター世界史B各駅停車(中谷 臣著、パレードブックス)』
サ ブ:『世界史年代ワンフレーズnew (中谷まちよ、パレードブックス)』
『各駅停車』を読み進めつつ、そのなかに出てきた事項について『ワンフレーズ』で確認し年代を覚え始めていってください。『各駅停車』は1周し、『ワンフレーズ』は太字の部分だけ覚えてください。6割程度確実に覚えられたら次の段階へ行ってください。
第二段階(2ヶ月)
メイン:『センター試験への道 世界史(年森寛編、山川出版)』
サ ブ:『センター世界史B各駅停車(中谷 臣著、パレードブックス)』
『世界史年代ワンフレーズnew (中谷まちよ、パレードブックス)』
『センターへの道』を解き進めていってください。勘でもよいので必ず答えを選んでください。その後、間違えてしまった問題・どうしてもわからない問題に対して『各駅停車』『ワンフレーズ』をみてかまいませんので、すべての誤りの選択肢に対してどこが誤りなのか選択肢の該当箇所に下線を引いて正しい内容を書き込んでいってください。その際参照した知識は『各駅停車』『ワンフレーズ』に印をつけておき逐一覚えていってください。
『センターへの道』を1周したところで次の段階に進んでください。
第三段階(3日)
メイン:09年~11年センター試験本試(3回分)
サ ブ:なし
予備校のウェブサイト(河合塾)などでここ数年の過去問は無料でダウンロードできるはずですから、それを時間を計ってやってみてください。ここまでくれば8割を切ることはないはずです。
第四段階(時間の許す限り)
メイン:『センター試験への道 世界史(年森寛編、山川出版)』
サ ブ:『ワンフレーズ』、地図
あとは時間の許す限り、『センターへの道』で以前(第二段階)で間違えたところ・わからなかったところを再度潰していってください。直前(センター数日前)になったら、『ワンフレーズ』の知識抜けチェックと地図(こちら)を覚えてください。これで万全です。
8割程度でよいなら第一段階から第三段階~第四段階の途中(ただし地図は必須!)までで十分です。理論上は、高3の2学期から始めても間に合いますが、余裕を持って進めるなら夏休み終了までに第二段階を半分~3分の2程度やっておくと後が楽です。
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