基礎力だけでは大学入試に合格することはできませんが、基礎力がなければ実力は頭打ちです。英語の基礎力は英単語、古文の基礎力は古文単語だとすれば、数学にとっての基礎力とは何でしょう。それはすなわち「計算処理能力」です。問題の解法がわかっていても計算ができなければ正答にたどり着くことはできません。高校数学は中学までの数学・算数に比べ、解答を導く過程を重視するといわれているので、高校生の皆さんは解法を学ぶことだけに拘泥しがちですし、実際高校の授業では計算を単体で扱うことはありません。しかし、数学が苦手だという人の多くに共通しているのは、計算の精度が悪かったり処理速度が遅いということです。それが原因で問題が解けず自分には数学のセンスがないと思いこんでしまうわけです。これは私自身もそうでしたし、多くの生徒を見てきた経験からも確かなようです。
また、数学がある程度得意な人で、ある一定より上のレベルに行けず悩んでいる人も計算力を鍛えることが有効である場合があります。1問に20分かけるような難度の高い問題に取り組むとき、いいところまではいけるのに時間が足りず最後の答えまでたどり着けないという人はどうすれば解けるようになると思いますか。一般に数学の試験中は、解法の方針を立て、計算を行い、解答を解答欄に筋道立てて記入するという3つの作業を行いますが、一番容易に時間を短縮できるのは計算を行う部分でしょう。計算が素早く済めばその分解法の方針をじっくりと練ることができますし、うまくいかない解法だった場合も早く気づいて別の解法を試すことができます。数学が得意不得意に関わらず、計算力を鍛えることは数学の実力アップにつながるのです。
★『合格る計算数学I・A・II・B (シグマベスト)』 広瀬和之(著) 文英堂
『合格る計算数学III・C (シグマベスト)』
著者は河合塾の講師です。ⅠAⅡBで1冊、ⅢCで1冊の構成になっています。
(2014年6月追記)
新課程に合わせて改訂されました。以下が最新版となっています。
『合格る(うかる)計算数学I・A・II・B (シグマベスト)』
『合格る(うかる)計算 数学III (シグマベスト)』
★『カルキュール数学1・A―基礎力・計算力アップ問題集 (駿台受験シリーズ)』 上田惇巳(著) 駿台文庫
『カルキュール数学II・B―基礎力・計算力アップ問題集 (駿台受験シリーズ)』
『カルキュール数学III・C―基礎力・計算力アップ問題集 (駿台受験シリーズ)』
駿台系の参考書です。ⅠA、ⅡB、ⅢCでそれぞれ1冊ずつの計3冊の構成です。2011年にⅠAが、2012年にⅡBが改訂されました。
★『大学入試・センター突破計算力トレーニング 上』 山崎亘(著) 桐書房
『大学入試・センター突破計算力トレーニング 下』
この本はⅠAⅡBⅢCといった分け方ではなく、分野ごとの横断的な分け方です。上巻は「通分と因数分解編、平方根編、2次関数編、数と式編、三角比編」、下巻は「指数対数編、微積分編、数列編、場合の数編、ベクトル編、複素数編、数値計算編」となっています。